第1章 カルセドニーの導き
悪魔の少年は、心底嫌そうに顔を歪める。
それを横目に、眼鏡を掛けた青年はアレスをじっと見据えて口を開いた。
「君がロッカの言っていた地質学者か?」
「はい」
アレスの頷きに、ネスティと名乗ったその青年はきらりと眼鏡を光らせた。
「失礼だか、君は鉱物鑑定士のユメノ一門の者ではないか?」
「なんだよネス、鉱物鑑定士って」
知らぬ単語に首を捻るマグナ。
「サモナイト石には機界、鬼妖界、霊界、獣界、名もなき世界の5種類があるのは知ってるな?」
「当然だろ」
そこまでバカにするなよな…と、マグナは頬を膨らませる。
「それらは各界と誓約をすることにより、属性ごとの力と色身を帯びる。では、誓約前のサモナイト石を見たことがあるか?」
「……ないと思う」