第1章 カルセドニーの導き
「初めまして、ユメノ・アレスです」
挨拶をするアレスの微笑みに、マグナは数瞬遅れて頬をピンク色に染めた後、慌てて自己紹介をした。
「あ、俺はマグナ!よろしく!」
「あんた、えらく美人だな」
「もぅっ、フォルテ!初対面の人に何言ってるのよ」
控えめに男の腹をどつくケイナと、どつかれるフォルテ。
「ちょっと待って下さいね」
自己紹介を受ける前に一度話を区切り、アレスは 懐からメモとペンを取り出した。
「私、石の名前を覚えるのは得意なんですけど、人の名前を覚えるのが苦手で…」
「なんだそりゃ」
呆れたように笑うフォルテと同じように笑いながら、マグナは話を続ける。
「扉のところに居るのが、俺の護衛獣のバルレル」
「勝手に紹介してんじゃねーよ、ニンゲンッ!」