• テキストサイズ

セレスタイトの歌声【サモンナイト2】

第5章 ラリマーの調和


指で石を撫でる。
何故だか、大丈夫だ、という根拠のない自信がみなぎってくる。
理詰めで最後の一手まで読みきって大手を決める性格の自分には、今まであり得なかった感覚だ。

「感化されたか」

ベッドに身を沈めれば、彼女の残り香を感じたような気がする。重症だ。

ルヴァイドは石を握り締めたまま、目を閉じる。
脳裏には、アレスの顔。

聖母のように穏やかな微笑み。
しかしレルムで最初に見つめた彼女の瞳は、絶対的な力を感じさせる強い眼差しだった。

(俺の剣をあの細腕で受け止めたのだ。ただの娘ではないのかも知れぬな)

『ルヴァイド――』

澄んだ声。柔らかい身体。紫水晶のような瞳。

(早くまた俺の名を呼んでくれ)

アレス、と小さく呟いて、一時の眠りへと沈んでいった。


+++
/ 332ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp