第5章 ラリマーの調和
「…出来るだけ狙うなと言って、仲間内に不信感を持たれるのはアレスの本意じゃないだろう」
「……よろしいのですか」
イオスの悲しげな声に、ルヴァイドはピクリと眉尻を上げた。
「どういう意味だ」
別に他意もなく聞き返す。
イオスは瞳をうろうろとさ迷わせた後、小さく口を開いた。
「違っていたら申し訳無いですが…ルヴァイド様が特別大切にしておられるアレスを、傷付けても良いのかと」
僕はアレスをよく知りません。
でも彼女といる貴方は、僕が見たことのない表情をしていた。任務中にあって、貴方から生気を感じました。
「以前の俺は、まるで死者か亡霊のようだと言いたいわけだな」
ルヴァイドは皮肉る。
イオスは「いえ…」と否定したが、内心でその通りじゃないかと渋い顔をした。