第4章 アマゾナイトの希望
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口には出さないものの、イオスは内心焦っていた。
聖女捕獲の任務に時を掛ければ掛けるほど、敬愛する上司の立場が悪くなるからだ。
そもそも軍としては、村を焼き討ちする事にも反対していた。
それを表立って言えない立場のルヴァイドは、理由をつけては決行を先伸ばしにしていたのだ。
しかし、彼の態度に業を煮やした元老院議会はレイムをやって寄越した。
あの男が加わってからの作戦は、当初予定されていたものより惨い結果に終わる事になる。
「ルヴァイド様は、人が良過ぎる…」
任務の成功こそ最優先事項なのに、彼の中にある騎士道精神がいたいけな少女の誘拐を躊躇わせる。
今日は偵察だけ、などと悠長な事を言っている場合ではないのだ。本来は。