第4章 アマゾナイトの希望
「…あたしは…」
言っていいものなのだろうか。この人は、あたしという人間を救い出してくれるのだろうか。
迷うアメルの手の中に収まる石が、熱を帯びた気がした。
まるで、アレスの代わりに石が答えたかのようだ。
もう一度アレスを見上げれば、彼女はとても穏やかに微笑んでいて。
母の顔を知らないアメルは、不思議とアレスに母親の気配を感じて胸が高鳴った。自然と言葉が口を出る。
「あたしは、静かに暮らしていけたらそれで良いんです」
「良く言えました」
アレスは目を細めて笑うと、残りのケーキにフォークを突き刺した。
「なら、相手が諦めてくれるように作戦を立てなきゃね」
「簡単に言ってくれちゃって…何か案でもあるのかしら?」
「まだ何も考えてないです」