第3章 ペリドットの癒し
大きな彼の手に、そっと自分の手を重ねる。
「ルヴァイドは、何故戦うの?」
焼け落ちるレルムの村でルヴァイドに問われた事を、今度はアレスが聞いてみる。
ルヴァイドは空いている手でこめかみを掻き、長い溜め息を吐いてからぼそりと語った。
「…父の汚名を雪ぐためだ」
遠い目をするルヴァイドの肩に、アレスはこつんと頭を寄り掛からせた。
ルヴァイドの事は応援したいが、軍としての行動は間違っている。
村を焼き払い、いたいけな少女を誘拐して利用するなど、許されるはずがない。
ルヴァイドの力になってあげたいが、アメルも守ってあげたい。
両者に挟まれて頭を悩ませるアレスだったが、これだけはルヴァイドに言いたいことがあった。
「約束して。ペリドットを肌身から離しちゃダメよ」