第3章 ペリドットの癒し
聖女を誘拐し、デグレアに連れていく事が自分達の任務だ。
「デグレアが何でアメルを狙うのか、教えては…くれないんでしょうね」
「聖女が何かしらの‘鍵’であることは確かだ。元老院の長老達の目的なぞ、俺達の預かり知らぬところだからな」
「……何故自ら聞かないの?」
「俺達は元老院の手足に過ぎない」
自分の騎士道を貫くことも出来ない環境に長く置かれたせいで、すでに心は失われていた。
ルヴァイドは僅かに口元を弛めると、それは寂しそうに笑った。
「お前が昨日言った通りだ」
流れに逆らえずここまで来てしまった。もし抗っていれば、違う道もあったかも知れない。
「…今からでも遅くないわ」
アレスはルヴァイドの隣に腰を下ろし、彼に寄り添った。