第3章 ペリドットの癒し
理由を問いかけてくる瞳を強く見据えて、アレスは言った。
「石が貴方を守ってくれる。きっと良い方向に進むから」
私を信じて、持っていてね。
「…了解だ」
ルヴァイドは頷き、アレスの頭を一撫ですると立ち上がった。
「俺はイオスと話をしてくる。アレスは適当にくつろいでおけば良い」
「……どうしてもアメルを狙うのね」
イオスとの話が、聖女誘拐の作戦会議であることをアレスは理解していた。
「…これも旧王国軍人としての責務だ」
そう言うルヴァイドの表情にも辛さが滲んでいて、アレスは何も言うことが出来なかった。
天幕を出ていく彼の辛い境遇に、どうか石の加護がありますようにと祈ることしか今のアレスには出来なかったのだった。
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