第22章 花火
でもフォローするのに限界になったようで
悲しそうな顔になり
安田「おおくらぁ~っ」
彼に泣きつくように声を掛けると
彼は花火が入ったビニール袋から
大筒の花火と取り出しながら
大倉「ほんなら罰で
ヤスがこの打ち上げ花火に
着火するの決定!」
私はその言葉に拍手をした
安田「えっ、いやや怖いやん」
安田さんは全身で拒否を現した
大倉「お前以外に誰がすんねん?」
彼は清まして安田さんに花火を渡しながら言うと
安田「なぁ、一緒にやろうや?」
大倉「あほか、一緒に付けられんやろ?
余計に危ないやんけ」
安田「じゃぁ、大倉がしたらええやん!」
安田さんは彼に渡しながら言った
大倉「男やろ、お前がやれよ!」
安田「いやいや、大倉も男やろ?」
二人は着火を譲り合い続けていた
私はため息をついて
再び花火を取り上げて
「私がします、ライターを貸して下さい」
二人がびっくりして私を見る
「きりがないようなので....」
私が冷たく言うと
大倉「ヤスのせいやで、ほんまに」
安田「なんでやねんなぁ」
「はい、もういいので貸して下さい」
私は掌を出して催促すると
大倉「女にそんな危ないことを
させられんよ....」
そう言うと私が持っている花火を
取り上げると
少し離れた安全な場所に行き
花火を付け始めた
私がその様子を驚いて見ていると
安田「本気なんや....」
「えっ?」
安田さんは私が反応した事に気が付くと
安田「なんもない」
そう言うと優しく笑った
その時だった
彼が急いで私たちの所に戻って来たのは
それと同時に花火が空に上がったのだ
三人とも何も言わずに花火を見つめていた
綺麗に彩っている花火を
そして花火の光に映し出された彼を見た時に
彼も私を見つめて微笑んでいる事に気が付いた
私も、そっと微笑み返していた
この何気ない事さえ
胸が熱くなっている自分に戸惑い始めていた
でも、これは花火が見せる魔法だと
必死で思い込もうとしていたのだ
いつかくる別れの為に
私は心を必死で作ろうとしていたのだった