• テキストサイズ

モノグラム

第16章 新たな道




 何も言えずにいる私に

お姉さんは続けた


「あれは、弟が悪いの....」


私は首を振り続ける


「貴女に結婚出来ないかも知れない

傷を身体に負わしてしまった

貴女の未来を壊してしまった」


私の首の動きが止まる


「本当に、ごめんなさい....

あの子の代わりに謝るわ」


私の目から一筋の涙がこぼれた


「本当に、貴女だけでも助かってくれて

良かった....

両親もそう思ってるの

辛い人生を負わせたけど....」



お姉さんの優しさが私の心に染みていた

涙が次から次と流れては落ちていく


「わ、私なら...平気です....」


声にならない声で伝えると

お姉さんは微笑みながら



「弟が歩めなかった人生を歩んでね

あの子の分も幸せになって欲しいの」


そう言うと私の手を強く握りしめてくれた

私はその強さを感じながら

素直に頷いた



その瞬間、私の罪が少しだけ

軽くなった気がしたのだった


/ 189ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp