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モノグラム

第15章 思い




角を曲がると私は止まった

急いで追いかけて来た彼を見つめた

少し息を切らしていた


「一人で帰れますから」


大倉「知ってる....」


「じゃぁ....」


二人で睨み合った

これは相手も一歩も引かない気だと悟った


大倉「心配なんや...」


「本当に大丈夫なんで!」


私は強めに言うと彼は悲しそうな表情で


大倉「もう、会えんくなる気がして...」


私の胸が大きく痛む

その痛みに耐えるように私は俯いた


彼と会えなくなる....


それは私が望んでいた事だった

でも、今は....



一緒に居たいけど

でも、やっぱり私は一緒には居れない人....

自分で答えをだしていると

何も言えずにいると


大倉「アンタの彼氏は空で悲しんでるやろうなぁ...」


彼は空を見ながらボソッと言った


「えっ....」


私は震える声で聞いた


大倉「俺やったら、愛する女を守ったのに

そんな毎日悲しい顔してたら

悲しいで....」



彼の言葉に胸が痛む


大倉「俺は思うで、彼はアンタを守ったんやと」


私の身体が震えだす


大倉「そんな人が幸せを願わんとは俺は思われへんねん」


その場に私は崩れ落ちた

彼が慌てて私を支える

私は力なく彼に抱きしめられた


大倉「なぁ、少しづつでええから

幸せになろ?」


何も答えられなかった

どうするべきか分からない

亡くなった人の気持ちなど知る事は出来ないから

答えなどどこにもない



自分の足場が大きく崩れる音を聞いていた気がした

でも

力なく彼の温もりだけを感じていたのだ


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