第63章 絶望
その後は大きなため息が
車内に響いていた
二人で、もう話す事は出来なった
今は、何を彼に伝えても自分の気持ちを
ちゃんと伝えられる自信がなかった
彼にもう
重い荷物を持たせたくなかったのだ
そんな二人で一緒にいるのが
辛くなった時だった
大倉「・・・今夜は、もう送るわ」
そう言うと家の前まで車で送られた
何も話さずに
私は止められた車から
無言で降りようとすると
その背中に向かって彼が
大倉「しばらく距離を置こう・・・」
その言葉が
ナイフのように胸に刺さった
でも私は自分の気持ちを
知られたくなかったので
私は彼の方を向く事なく
「はい・・・」
そう返事をして車の扉を閉めた
そのまま彼の車は
いつもなら窓を開けて
一言を言ってくれるのに
それすらなく
私の前から走り去ってしまった
私は動けずに泣いていた
そう・・・
距離を置く・・・
それは、会えないだけじゃなく
これからの事を考える時間
今の自分たちでは
一緒にいれないということ
この突然の悲しみに私は
どうする事も出来ずにいた
突然の光を失ったように
絶望していたのだった
でも・・・・
この時の私は自分の悲しみだけだった
今、彼が何を考えているのか
どんな思いでいるのか
そんな事すら見えずに
ただ自分の事だけで悲しみで
精一杯で会えないこれからの
明日を思って
泣き続けていたのだった