第6章 雨
どうして、分かってくれないのだろ
気持ちがイライラに変わっていた
「嫌とかではありません
私は、友達でも恋人でもないので」
大倉「なんやねん、それ!
何でこうして話す事すら嫌うねんな!」
彼が初めて感情を露わにした顔になった
しかし、何も言えずに私は黙ってしまった
長い沈黙の後に彼は
大倉「そんなに、嫌なら二度と誘わんよ」
冷たく言い放った
「本当にすいません....」
私は、その言葉を残して席を立ち
一人で店から出たのでした
店から出て
空に広がる星を見上げて
深いため息をつくと
山道を歩いて降りる事を決意した
どっかの駅まで歩けば帰れるだろと思った
私が怖いのは山道とか暗闇ではなかったから
そんな歩いている私の頭に突然
水が、かかった気がした
上を見ながら掌を広げて確認すると
ポツポツと水がかかる
「雨か....」
雨は容赦なく降って来てきたのだ
私は少し苦笑いをした
あの夜も雨が降っていた
私が彼を急かさなければ
今の私の人生は変わっていただろう
あの雨の日がなかったら.....
そう考えながら歩く私の後ろに
突然クラクションの音が鳴り響いた