第47章 歩み
仕事が終わって店から出ると
言っていた通りに
マネージャーが
道に立って待っていた
私の顔を見ると頭を軽く下げたので
私も頭を下げて近づいていった
しばらくの重い沈黙が流れた
嫌な予感しかしなかった
マネージャーが
おもむろに口を開いた
「大倉が今日、遅刻して来ました」
「・・・・・」
マネージャーは私と一緒にいた事を
知っているのだろうか?
その真意を探るように
私は見ていた
「来てそうそう
大倉は私に頭を下たんです」
「えっ?」
私は驚いた
マネージャーは私の顔を見ながら
優しく微笑むと
「自分がどれだけ、甘えてたかと言い
これからは、しっかりと仕事をすると
私に宣言をしました」
その言葉を聞いて
私は大倉さんの気持ちを考えていた
「・・・・そうですか?」
「そして・・・・
貴女に教わったと言っていたました」
私は
マネージャーを静かに見つめた
「ありがとうございます」
マネージャーは深々と
頭を下げた
「いえ、私は何も・・・・」
私は急いで否定したが
彼は話を続けた
「それからの
大倉の仕事への意欲は
素晴らしいモノになりました」
嬉しかった
私は本当に嬉しかった
「そうですか
本当によかったです」
私がニッコリ微笑むと
「大倉には
貴女は必要な人のようですね」
突然の言葉に何も言えなかった
「これからも
大倉をよろしくお願いします」
私に伝えると
彼は頭をまた深々と下げて
私の元から静かに去っていった
私は
何とも言えない気持ちで
去って行く背中を見つめていた
あれだけ越えられないと
思って頭を悩まして
自棄になっていたのに
知らない間に二人で
越えていたようだ
私は一人
ガッツポーズをして喜び
心浮かれる夜になったのでした