第1章 出会い
今、思えば
その時の私は人として最低だったと思う
未来に希望もなく
無機質で生きていた
そして人に関わる事を極端に恐れていた
過去の経験で
私と彼が出会ったのは
親に文句を言われたくなくって
一応、仕事をしている振りの
フリーターをしていたファミレスの仕事に
深夜に入っていた時だった
夜中の2時を過ぎた時だった
ラストオーダーも終わって
店は閉める準備に入っていた
お客も一人を除いては誰もいなかったのだ
その客が帰らないから
私は帰れずにいた為に
少しイライラしていたが
早く帰ってもらう為に
客の様子を見るために
水を入れている
ピッチャーを持って行くと
客は気持ちよさそうに
眠っていたのだ
私は
時間が時間だから仕方ないと思ったが
これではいつまでも帰れない
「あのぉ、お客様....」
私が声を掛けてみると
客は私の声に驚いた顔で起き
慌てて周りを見渡した
「もう、閉店の時間になりますが...」
私の言葉に彼は寝ぼけながら
自分の高価そうな腕時計を見た
大倉「えっ、ヤス来てないやんけ!」
そう言うなり
スマホを取りだし電話をしたのだ
私の事を無視している
その様子に少しイラッとした
「あのぉ、お客様?」
私は、再び声を掛けると
彼は電話中だと言わんばかりに
私に掌を見せたのだ