第4章 敬天愛人!?クミコ様*
暁がにこにことした
穏やかな顔で管理人から
離れ、素直に椅子に座った。
白石を見れば、
相当笑いを我慢しているのがわかる。
その我慢顔に、
私も吹き出してしまいそうだ。
「んー…じゃあ暁、
私に左手を見せてちょうだい?」
「わかった!」
クミコは、
暁の元気な返事を聞くと
口角をニヤリと上げた。
だが、暁には見えていないらしい。
今の暁の頭は
花畑状態だ。きっと
そこでワルツでも踊っているかもしれない…
「…っ」
やばいっ
想像したらまた
笑ってしまいそうになる。
私は必死に口元を手で隠した。
「…」
「~♪」
この狭い空間に5人。
耳には暁の鼻歌しか入ってこない。
クミコは真剣な表情と目つきで
暁の手をじっと見つめている。
そして、おもむろに
水晶に手をかざし、
ぼそぼそと何かを唱えだした。
(これが占い…っ)
あまり見たことのない光景に
釘付けになり、クミコの
表情にとりつかれていく。
…その突如、
クミコがバッと顔をあげた。
いきなりで私は
唾を呑み込む。白石や管理人も
驚いたようだった。
「…でたわ」
静かに、クミコは目を閉じる。
…っ
「暁、」
「貴方は明日…」
ごくん…
「 死ぬでしょう 」
「「「「なんでやねんっっ!!!!!」」」
そう初めに
叫んだのは、
椅子から勢いよく立ち上がった
顔面蒼白の暁だった。