第2章 アサのウサギ
オールでゲームしてたからかな。目がハッキリと覚めてないや。
ふぁぁ…と欠伸をしてムクっと上半身を起こした。
朝も夜も分からない、この宇宙空間。颯爽と飛び回る春雨の船の中、私はベッドの中にいたのに。
普通ではそんな音しない破壊音でぶっ壊れた部屋の扉。
誰が壊したなんて…目の前のアホ毛だよ。そいつの後ろから頭を抱えたおっさんもいた。
「サクラおはよう。」
『こんな目覚めの悪い朝なんて好きじゃないんだけどなー』
「ちょっと聞きたいんだけどさ、地球って星知ってるよね?」
『ほーほー。無視ですか、人の話は無視ですか。』
「あれ?前に言わなかったっけ。ご飯が美味しい星だよ」
『おい聞けや。……そんなの、どこでも美味しいと思うけど?』
「団長…そんな大雑把な説明じゃ、このお嬢さんには分からねぇだろ」
サムライの星だ。と阿伏兎に言われて、あぁ…と思い出した。
『たーしか、鳳仙の旦那と、天人と戦ったJOY達がいるんだったね』
「JOYじゃなくて攘夷、だ。」
「ともかく、知ってるなら話は早い。阿伏兎、頼むよ」
「へいへい……悪いなサクラ」
『ねぇ、全然話についていけないんだけど。』
頭が混乱してる中、阿伏兎がひょいと私を担ぐとそのまま部屋を出て行ってしまった。
…私、まだパジャマなんですけどー!?
遠くなる私の自室……ぁぁ、まだゲーム途中だったのに……。私のダーリン…。もうちょっとでハッピーエンドだったのに…
『ぁぁ…アキラ様ァァァァ!!』
「何言ってんだサクラ」
「乙女ゲームの話でしょ」
『ん?私、神威にアキラ様の話したっけか。』
「番傘をシールだらけにするのはサクラだけだよ。」
「何やってんだ…」
『いぃんだよ!傘を開いたとき、アキラ様のスッバラスィー笑顔がこっち向いてんだぞ?そのために任務こなしてると言っても過言では「はいはい」話をちゃんと聞け。』