第8章 烙陽決戦篇
第七師団とは別の船。
広く長い廊下。
横を通り過ぎる人は私を見て驚きの顔をするが、少し急ぎ足で抜けて、大きな自動扉を開けた。
そこには各団長がソファに腰掛けており、いっせいに私を見た。
「……来たか」
『私に合流を求む、なんて、随分と春雨も落ちこぼれたものだねェ』
「なんだとォ!?」
「どうだか。落ちこぼれたのは、幹部(そっち)じゃないのか?」
『はっ。ならその落ちこぼれた一員に、何をさせるつもり?まさか、お遊戯会でもするんじゃあるまいし』
「そのまさかだ」
「天導衆と俺たちと、ひと遊びしようや」
『…そのお遊戯会に参加するなら、大人しくゲームしてたほうが100倍マシだわ。帰る』
自動式の扉が開かない。
おおよそ、裏で操作でもしているんだろう。
「帰ることなんて出来ないんだよ」
「天導衆からちゃんと許可を貰ってるからな」
「我々とついてきてもらおう」
『汚い真似だね。私がここで素直に"はい"と言うとでも?言うわけないでしょバーカバーカ』
「いいや、幹部は必ず俺たちに従うさ」
『……上司に向かって舐めた口を。アンタ達全員、今ここで殺ってもいいんだよ』
腰ホルダーから番傘を抜き出し、ありったけの力で床に叩きつける。
傘から伝わる亀裂は、一番最奥に座っている第一師団団長、獅嶺まで届いた。
「……」
「怯むな!ここで逃がしてはならん!」
『恐れるのは、第七師団だけじゃない。分かってるでしょ、アンタ達が一番殺らないといけないのは、私』
「このお遊戯会(遊び)には、ひとり面白い奴がいてな…」
「その名を星海坊主と言う」
『!』
「我々と、第七師団と鬼兵隊を潰す重要人物だ」
『……潰す?星海坊主がそんな事…』
「いいや、彼は春雨にいい案を出してくれた」
*
「阿伏兎~サクラは?」
「知らねェ。どっかで道草食ってるんだろ」
「ふぅん。今から殴り込みに行くのになァ」
徳川喜々と元老院の裏切りにより、鬼兵隊と第七師団は孤軍として、南天楼という拠点を奪取することにした。