たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第7章 大いなる約束の大地チンギスハーン
「これはこれは、津和田さん。私たちに何か?」
「何か? じゃないでしょ。昨日あなた達が捕まえに行ってた…鞍馬とか言うやつはどうなったんですかぁ?」
相変わらずの嫌味な声で津和田が問う。しかし署長の腰巾着であるこいつには既に情報が届いている筈だ。
こいつ、知ってて聞きに来たのか。
ニヤニヤしながら此方の返答を待つ津和田に怒りがこみ上げてくる。どうしても一発殴りたくなった。
それでも、ベテラン選手である内中原は冷静だった。
「残念ですが、彼が犯人である可能性は低いそうです。」
「おいおいマジかよ。そんなん税金の無駄じゃん。あーあ、そんなんだから出世できないんですよ。内中原、さん。」
「申し訳ないです。」
詫びながら、内中原が頭を下げた。普通の人なら殴りかかる様な言葉を吐かれても老刑事は素直に頭を下げた。
それが寺町にはカッコよくも、哀れに見えた。