たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第7章 大いなる約束の大地チンギスハーン
それから数十分程注川守から話を聞いたが、彼が遡である可能性は話を聞くうちにどんどんと薄れていった。
「じゃ、誤解も解けたようだし、帰ってもいい?」
「はい、疑って申し訳ありませんでした。」
帰ろうと席を立った注川守の足元が垂直に見えるぐらいまで頭を下げ、注川守が何回も「頭を上げてくれ」と言うまで下げ続けた。
もういいか、そう思い頭を上げると、彼は一瞬のうちに扉の前まで移動していた。神通力を使ったのだろうか。
そして、店を出ようと扉を開け、外に踏み出そうとした時、注川守が不意にこちらへと振り返り、最後に言った。
「実は自分自信に術をかけてあってね。普段、審神者サポータの鞍馬丞として生活している時、[神]であるという記憶は消えておる。」
「だから、もし神の意識を覚醒させたいときは『人じゃない』と言ってくれ、すぐに意識が目覚める。」
「了解しました」と返せば、注川守は笑顔で最後に
「もし、本丸の方たちに神だってバラしたら、地獄よりキツい所に落とすからね」
身も凍るような言葉が発せられたと思った次の瞬間、注川守の姿はかき消え、扉が音もなく閉まった。