たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第7章 大いなる約束の大地チンギスハーン
我々警察はあなたを遡と思っている。そう宣告されたにも関わらず、鞍馬は動揺した様子も見せず、バーテンダーから受け取ったワインを一口飲むとゆっくり反論を始めた。
「私は遡が出現した時ちょうど、出雲郷楽器にいました。その後も本丸の通信室で出陣中の部隊と連絡を取り合っていました。そんな自分にこんな事が出来る訳ないでしょう?」
「僕は違います」そう断言すると鞍馬は温厚そうな笑みを向けた。だがそんな事は此方も調査済みである。
「確かに、そうかもしれませんが、僅かな時間や小型の違法転送装置を上手く使えば小分けで作業が進めていける。…現にあなたは何回も出雲郷楽器でトイレに行ってますよね?」
「それは…蓮さんとかの出雲弁がキツくて逃げてただけですよ」
「そうですか…」
やはり上手くかわされてしまった、が。やはり何かある。刑事として、公安としてのカンがそう言い切る。
そこで寺町は一冊の小冊子をカバンから取り出し、鞍馬に渡す。
「鞍馬さん。こいつを見てください。重要な事なんです。」