第5章 「白雪姫より口笛吹いて働こう」初演奏と遡の始動

舞台に全員が出終わると、城護先生が客席に向かって礼をする。それが終わると指揮台に上がり、手を上に構える。

「せーの」口パクでそう呟くと同時に手が降り下ろされる。それが全員の呼吸と重なら…なかった。パーカッションの出だしが大きくズレてたからだ。

スネア、ティンパニ、グロッケン、シンバル、チャイム　全ての動きが微妙にズレていて。にっかりのテインパニは自己主張が激しかった。

おいおい、と思っている間にバーカスの出番は終わり少し荒めのスネアの繋ぎに入る。最初はフルートだ。今剣達が立ち上がる。

今剣を中心とするフルートパートはトリルを重視して練習していたが、それが今かなり活かされている。そこへ一期のオーボエ、山姥切のファゴットが入る。バラけるところが多いが、音が表情豊かな演奏であった。フルートが終わると次はチューバと愉快な仲間達だ。