たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第5章 「白雪姫より口笛吹いて働こう」初演奏と遡の始動
「敵ながら、見事なものだな」
感心したように土方が言った。歴史の偉人に誉めてもらえるとはこの上なく嬉しい。
さて、手をパシリと叩いてから、土方をどうやって運ぼうか悩んでいると倒れている和泉守が吼えた。
「おい、てめぇぇ なんで、なんで止めを刺さないんだ!」
確かに止めを刺さないのは不自然であるが、それは個人の自由であろう。
「何度も言うようだけど僕は殺すのが好きじゃないんだ。それに他でもない君たちだからね」
意味深な答えに和泉守は不思議そうな顔をするがもうそれに構っている暇は無くなった。
「じゃあね、バイバイ和泉守君。また会おうよ!」
仮面の下で笑顔を作りながら言う。それから改めて土方に向き直る。
「じゃあ、土方さん。そろそろ行きま…」
しょうか。と言う言葉は唐突に響いた銃声によって掻き消される。土方がゆっくりと後ろに倒れた。