【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第10章 番外編
「どうして寝るときは大きい服着なきゃいけないの?」
「寝てる間に元の大きさに戻るかもしれないだろ。」
菅原のベッドの上で、ぶかぶかの部屋着に腕を通しながら立花は首をかしげる。
「そうなの?」
「そうなの。」
結局、夜になっても立花は8歳のままだった。
(今夜まではどっちの親もいないからいいけど、明日になっても戻らなかったらもう隠し切れないよなあ……。)
菅原は改めて彼女を眺める。
もう眠いのか、目を擦って大きな欠伸をしている。
「ほら、電気消すぞ。布団入れ。」
「はーい。」
彼女がベッドに横になったのを確認してから照明を落とす。
暗闇の中、自分も床に敷いた布団に入ろうとすると
「こうちゃんもこっちがいい。」
「は?狭いだろ。」
「私小さいから狭くないよ。」
「小さいなら小さいでつぶしちゃいそうで心配だし。」
「平気だもん。」
「……じゃあみーが寝るまでな。」
仕方なく、菅原は彼女と一緒のベッドに入ることにする。
立花が寝入るのを見届けて、自分はベッドから出ればいい。
どうせすぐに眠るだろうと思っていたのだが、ぎゅっと腕にしがみつく彼女の力はなかなか収まらない。
「ねえ、こうちゃん。」
「ん?」
急に真剣なトーンで話しかけられて、菅原はドキリとする。
「明日は小学校行っていい?」
「うーん……朝、目が覚めて隣にいるのが8歳の俺だったら行っていいよ。」
「そっかあ……。」
「うん、ほら、もう寝な。」
優しく髪を撫でてやると、
「ねえ、もう一個聞きたいことある。」
「なに?」
「大人になっても、私とこうちゃんはずっと仲良し?」
暗いので表情は分からないが、その声音はとても心細そうだった。
「うん、仲良しだよ。中学も高校も、その先もずっと一緒。」
「そっか、よかった……。」
安心した様子で、彼女はすぐに寝息を立て始めた。
「おやすみ。」
小さな声でそうささやいて、彼女の髪にキスをした。