【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第10章 番外編
「おまたせーって、おお、珍しい光景……。」
昼休みに入ると約束通りやってきた菅原は、身を寄せ合う月島と立花を見て目を丸くする。
「あ、お疲れさまです」
山口が声をかけると、
「おう。二人で相手してくれてたの?ありがとな。」
「ほら、菅原さん来たからもういいでしょ。」
月島が絵本を閉じようとすると、
「つっきー、あとちょっとだから最後まで読んでー。こうちゃんはちょっと待ってて。」
立花にそう言われて、月島は勘弁してくれと項垂れる。
菅原は一瞬固まったが、すぐに月島の懐に収まっている立花をひょいっと持ち上げる。
「こら、月島困ってんだろ。今は絵本より、昼ごはん!」
「つっきーと山口君も一緒に食べる?」
「いや、俺たちは戻るよ。弁当教室にあるし、体育着のままだしね。」
山口の言葉に、立花が残念そうに肩を落とす。
「また部活の時間に来ますね。」
菅原に抱き上げられたままの立花に声をかけて、二人は部室を出て行った。
急に部室が静かになる。
「……こうちゃん、降ろして?おひる食べるでしょ……。」
足を少しばたつかせて離して、とアピールするが、
「お前さあ……。」
それだけつぶやくと、腕に力を込めてぎゅうっと立花を抱きしめる。
「こうちゃん?」
「たのむよ、俺って案外嫉妬深いからさ……。」
シットブカイ……?と小さく繰り返す立花はどうしていいか分からず、彼の頬にそっと唇で触れた。
音のない、静かなキス。
「こうちゃん、元気だして。」
びっくりして声もでない菅原に、立花は無邪気な笑顔を向けるのだった。