【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第10章 番外編
「誰もいなかったでしょ?」
「うん。」
月島の予想通り、季節外れのプールには人気もなく、難なくトイレを使用できた。
ハンカチで手を拭きながら出てきた立花は、二人を見上げて
「どうもありがとう。」
とお礼を言った。
「どういたしまして。」
山口が立花の髪を撫でるとふふっと笑顔がこぼれた。
(小さい先輩かわいい……。)
そんな彼の心を見透かしたように
「山口、デレデレしてるけどそれ一応先輩だから。」
さっきの仕返しとばかりに冷たく言い放った。
「じゃあ、見つからないうちに先輩は部室戻って。ここからすぐだから、分かるよね。」
山口がそう言うと、立花の表情はみるみるうちに悲しげなものに変わっていく。
「……こうちゃんとこ行きたい。」
「うーん……もうすぐお昼休みだから。そしたら菅原さん部室に来てくれるから。」
「……。」
山口の言葉に立花は渋々頷くが、今にも泣き出しそうだった。
困った山口が助けを求めて月島に視線を送る。
「どうせ昼休みまであとすこしだし、菅原さん来るまで一緒に部室にいてあげてもいいんじゃない。今更体育戻るのもダルいし。」
「ツッキー優しい!」
立花も二人を見上げて喜んだ。