【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第10章 番外編
その日の一年四組の4限は体育だった。
校庭でサッカーをしているなか、月島はキーパーを任されていた。
(まあ、走り回るの疲れるし、楽でいいんだけどね。)
職業柄、シュートを止めるのは専らブロックで、なかなかキャッチできないのだが。
「ツッキーがんばって!」
控えの山口がゴールのすぐ近くから声援を送ってくる。
(山口うるさい……。)
たかが体育の授業で声援はおかしいでしょ、と突っ込みながら、ふと時計に目を向けると……。
「山口、ちょっとあれ見て。」
「え、なに?」
キーパー用のグローブを着けた月島の指が差す方に山口が視線を動かす。
そこには、物陰に隠れながら(実際は全然隠れきれていない)辺りをキョロキョロしている立花の姿があった。
「うわあ……あんなのすぐ見つかっちゃうよ。どうしようツッキー!」
その時ちょうどクラスメイトが蹴ったボールが立花のいる方へ飛んで行ったので
「あ、俺とってくる!!」
すかさず山口が走り出すと、月島もその後を追った。
「山口悪いなー!」
「あいつのあんな素早いの珍しいな。」
「ていうかなんで月島も行った?」
「あいつら仲良いよな。」
クラスメイトたちは二人の背中を見送るのだった。