【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第9章 春が来るまえに
良く晴れた空の下、烏野高校に背を向けて歩き出した。
一歩、二歩、三歩歩いたところで、遠くから聞き覚えのある声に呼ばれる。
「立花せんぱーい!!」
聞き間違いかと思いつつも、立花は振り返る。
校舎からこちらへ全力で走ってくる男子生徒の姿があった。
「日向くん……。」
元気いっぱいに立花の名前を呼びながら日向が駆け寄ってくる。
「菅原さんが、びっくりしてましたよ。メール。菅原さんだけじゃないです。俺も、みんなも焦ったんですからね!どうして先帰っちゃうんですか!?」
「ご、ごめん……でも」
「卒業、おめでとうございますっ!」
でも、私バレー部じゃないよ、と続けようとした立花を遮って、日向は満面の笑顔で花束を差し出した。
「みんなで卒業生にプレゼントしてるんです。立花先輩の分も用意したのに、帰ったって聞いて、急いで追いかけてきたんですよ。」
立花の顔をくすぐるほど近づけられたピンクの花束は、間違いなく彼女のために選んだのだろう。
「ありがとう……。」
鼻の奥にツンとした感覚を覚えながら、花束を受け取る。