【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第8章 素直、ときどき
人の気配がして、立花は目を覚ました。
熱のせいでぼんやりする頭を動かして、時計を見る。もう8時になろうとしている。
「え、単語テスト範囲?ちょっと待って……」
聞き覚えのある声が、部屋の外から聞こえてきた。電話で誰かと話しているようだ。
(こうちゃん……来てたの?)
ガチャ
ドアを開けて入ってきた菅原と、ベッドで横になったままの立花の目が合う。
「あー、ごめん大地。みー起きたわ。うん、テスト範囲はまたあとでメールする。うん、じゃあまた明日。」
電話を切って、ベッドの横に座り込む。
「澤村君?」
「そ。具合は?あんまし良くなさそうだな。」
額に触れる手が冷たかったのか、立花は身を捩った。
「ポカリ買って来たから、飲めよ。」
コンビニの袋からペットボトルを取り出して、キャップを開けてから渡す。
「……ありがと。」
コクコクと、小さく喉を鳴らしてポカリを飲んで、立花は再びベッドにもぐりこむ。