【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第8章 素直、ときどき
移動教室のために、澤村と菅原は並んで廊下を歩いていた。
少し前に、立花が一人で歩いているのが見える。
「あいつ、まだ怒ってんのかなー。」
「気になるなら声かければいいだろ。」
「まあ、そうなんだけどさー……。」
立花の背中をぼんやり眺めながら話していたら、彼女がふらふらと廊下の壁に寄りかかったので、二人は驚く。
菅原が小走りで寄って行き、声をかける。
「みー、どうした?」
腕を掴むと、そのまま彼の身体に倒れかかった。
「おい、大丈夫か?具合悪い?」
「頭いたいし、さむい……。」
弱々しいその声を聞いて、菅原は全てを理解した。
彼女の手から教科書と筆箱を取り上げて、自分のそれと一緒にして澤村に託す。
「大地、俺保健室連れてくから、これ持って先行っててくんない。」
「分かった。先生にも言っとく。」
澤村は、立花を支えながら歩く後姿を見送る。
(なんだかんだ、立花はスガに頼るし、スガも立花のことほっとけないんだよな。バカップルってやつか……。)