第8章 素直、ときどき

翌日、菅原がいつものように立花の家まで迎えに行くと、彼女の母親が出てきた。

「おはよう、こうちゃん。ごめんね、美和今日は先に行っちゃったのよー。
課題のプリント忘れてきたから早く行ってやらなきゃとかで。
まさかこうちゃんに何も言ってないなんて思わなかったわ。ダメな子ね。まったく！」

まさかケンカしているなんて言えるはずもなく、曖昧に話を流して、菅原は学校へ向かった。

（なんだあいつ！まだ怒ってんのか。）

解けかけていた怒りが、彼の中で再び生まれてきた。

（学校行ったらとっつかまえてやる！）