【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第7章 アザレア
背中を見送りながら、昨日の澤村の言葉を思い出す。
(話すって言ってもなあ……。)
マフラーを外して、小さくため息をついた。
ぼうっとしてスマホをいじっていたら、飲み物を持った彼が戻ってきた。
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
しばらくお互いに取り留めのない話をぽつぽつとしてから、沈黙が流れる。
「あのさ。」
それを破ったのは菅原だった。立花は黙って続きを待つ。
「今夜、うち親いないんだけど。来る?」
「行かない。」
立花は突き放すように断った。
言ってから、あまりにも冷たかったかと反省して、少し慌てる。
「あ、ごめん。
えっと……ちょっと今日は疲れてるし……。」
すると菅原は笑い出した。
「あー分かった分かった。やっぱりそういうことだったか。
ごめん、みー。うち今日は母さんも父さんもいるから。」
「……は?」
立花は意味が分からなくて固まる。
「なんかあの日からお前の様子がおかしいなって思ってて。
でも学校では普通だし。二人の時だけ妙に警戒されてるということは、
まあつまりそういうことなんだろうなって予想はしてたけど。」
まだ笑いながら彼は話す。