【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第7章 アザレア
二人で保健室に入ると、先生が素早く対応してくれた。
傷口を洗って、消毒して、大きめのガーゼで覆う。
「派手に転んだわねー。他に痛いところはない?」
「はい。」
「じゃあ、私少し外すから。ゆっくり休んでいきなさい。」
そう言い残して先生は出て行った。
「……ここはあったかくていいな。」
澤村が二人きりになった保健室を見回して言う。
「だね。……大丈夫?まだ痛い?」
恐る恐る立花が聞く。
「少しな。でも平気だよ。利き手じゃなくて良かった。」
無事だった右腕を動かしてみせた。
「立花こそ、大丈夫か。」
「え、私?」
「なんか疲れてそう。ていうかまた悩んでそう。」
「……こうちゃんから何か聞いてる?」
「まあいろいろと。」
「……だよね。」
「まあ、今更体育もどる気にもなれないし、
暇つぶしついでに聞いてやってもいいけど?」
澤村は自分の座っている隣の椅子をぽんぽんと叩いた。
立花は素直にそこに腰を下ろす。
「あんまり眠れてないんだって?」
「うん。あ、でもそれはもう良くなりつつあるから平気。」
「そうか。なら良かったよ。じゃあ何に悩んでるんだ?」
「えっと、こうちゃんとのことは、もう聞いてる、よね?」
立花が少し言いにくそうに言葉を繋ぐ。
「ああ、付き合うことになったんだろ?」
「そう、なんだけど……。」
「……。」
「えっと、あのね……。」
立花はなにか言おうと口を開くのだが、その後の言葉が続かない。