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【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)

第7章 アザレア


午後の体育は立花は体調不良を理由に見学した。

「寒いから、教室で自習してても良いけど。」

教師にそう言われたが、立花は校庭の隅で上着を羽織って見学していた。

女子はテニス、男子はサッカーをしていた。

(バレーだったらこうちゃんと澤村君活躍なんだけどなあ。)

ぼうっと眺めていたら、男子の中で何かトラブルがあったらしい。

「思いっきりぶつかったなー。」

「おい!大丈夫か!?」

「せんせー、けが人ですー!!」

あっというまに人だかりができて、その中から一人の男子生徒が歩いてきた。

腕を押さえているので、怪我をしたのだろう。

しかしその生徒が、立花の良く知る人物だと分かって、彼女は立ち上がった。

「澤村君!?」

駆け寄ると、彼は腕から血を流して顔を歪めていた。

すぐそばには菅原も心配そうに寄り添っている。

「立花、お前見学か。
悪いけど保健室連れてってやってくれないか。」

体育教師から頼まれて、立花は澤村に付き添って保健室へ向かった。

「大丈夫だよ。ただ擦りむいただけ。」

そう言って澤村は笑った。

「でも、すごい血だよ?」

立花が心配そうに傷口を覗き込もうとするが、澤村はそれを手で隠す。

「見なくていいから。けっこうグロいぞ。」

「あ、そうなんだ……。」

「お前そういうのダメだろ。ってスガから聞いてるだけだけど。」

「うん……。ごめん。」

「ほんと、立花は女の子だよなあ。」

澤村はそう言って少し笑ったが、立花は何もできないことが悔しい。

「もうちょっと強くなりたいけど……。」

「いいんじゃねえの。立花にはスガがいるしな。」

澤村の言葉に、立花はくすぐったそうにふふっと笑った。

(なんだ。幸せそうじゃん。)
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