【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第6章 まわりみちの行方(後編)
スーパーの裏手に日向の自転車が停められているのを見つけて、
菅原はそこから駐車場内にもぐりこんだ。
自分の足跡を殺して、周りの音に耳を澄ませる。
微かに人の話し声が聞こえる。
(向こうか……?)
走り続けたせいで耳の奥は鼓動がガンガンと響いている。
薄暗いなかで、物陰に隠れる日向の姿を見つけて、
菅原は駆け寄り、小声で話しかける。
「日向!」
「菅原さん!立花先輩は向こうです。
相手4人もいて、これ以上近づけなくて……すみません。」
菅原は日向の指差す方に目を凝らす。
「今、ノヤっさんと影山と旭さんもこっち向かってます。
田中さんと大地さんは警察で事情を話してくれてます。
今は、変に刺激してさらに遠くに逃げられるほうがまずいから、俺らは手出しするなって……大地さんが。」
日向はそう説明しながら、菅原の耳には届いていないことに気付く。
菅原は唇をかみしめて、じっと男たちのいるほうを睨んでいた。
10数メートル先に立花の姿はあったが、暗くて様子は良くわからない。
聞こえてくるのは男たちの話し声だけだ。