【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第5章 まわりみちの行方(前編)
「本当に犯人現れますかね?」
日向は10メートル程先を歩く立花にビデオを向けながらつぶやく。
3人は物影に隠れながら立花の後ろをついて行く。
「多分な。事件のおかげで最近は女子が一人で歩くことも少ないだろうから、
犯人にとってはこんな無防備な女子高生願ったりかなったりだろ。」
田中がそう言いながら周りを見渡す。怪しげな人物は見当たらない。
「だよな。何も起こらないとすれば、俺たちの作戦に気付かれたって事かもな。
そしたらまた別の方法考えないとだめ……かも……あ?
なあ、おい、あれ!」
西谷が話の途中で異変に気付く。
他の二人も息を潜めて目を凝らす。
裏路地から一人の男が歩いてきて、まっすぐに立花の背後に近づいて行く。
ニット帽を目深にかぶっていて、明らかに怪しい。
「何か持ってるな……。」
「スマホ……いや、デジカメか?」
「でもまだ犯人かどうか分からな……。」
「おい、お前らなにしてる。」
前方に気を取られていた三人に、背後から聞き覚えのない声がかけられた。