【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第5章 まわりみちの行方(前編)
「!?」
三人は心臓が跳ね上がるほどドキリとし、振り返る。
20代後半くらいのその男は、三人をジロリと睨み、日向の持っていたビデオを取り上げた。
「なめたマネしやがって。」
(仲間がいたのか……まずい!)
西谷がそう思ったのと同時に、男は前方へ向かって大声を上げた。
「おい!ガキの罠だ!その女もグルだぞ!!」
一番早く反応したのは日向だった。
「立花先輩、逃げてください!!」
その声を聞いて立花が走り出そうとするが、
すぐ近くまで迫っていたニット帽の男に捕まってしまう。
「立花先輩!」
田中が立花に駆け寄ろうとするも
「ストップ。これ人質だからね。」
そう言って立花の腕をひねって見せる。
「いたい!」
立花が悲鳴を上げて顔を歪ませる。
「まったく。とんでもねえガキどもだな。
せっかく久しぶりの上玉だと思ったのによー。
ほら、モタモタすんな。行くぞ!」
田中たちのそばにいた男が、立花とニット帽の男の方へ走って行く。
「離して!」
「大人しくしてろよ。怪我したくないだろ。」
男が、暴れる立花の腕を先ほどより強くひねる。
「いたい!助けて……!」
立花は声を上げて三人に視線を送るが、
引きずられるようにして脇道に連れて行かれてしまう。
「立花先輩!」
日向が叫ぶが、どうすることもできずに三人は立ち尽くす。
真っ先に西谷が我に返って二人に指示を出す。
「龍と翔陽は警察に行け。俺はこっそり後を追う。
どこかに連れて行く気だろうから、場所が分かったら連絡する。いいな!」
二人は頷いて、走りだした。
西谷も男たちの入って行った脇道へ進んだ。