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【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)

第5章 まわりみちの行方(前編)


一月ほど前から、烏野高校周辺で盗撮被害が頻発している。

主に女子高生が狙われており、撮られた写真はネットに流されている。

すでに警察も動き出しており、解決は時間の問題だろうと言われていたが、
念のため女子生徒は一人歩きをしないよう学校から厳重に注意されていた。

その最中、昨日清水と谷地が部活の合間に買い出しに行った際、被害にあったというのだ。

幸いにも二人はけがもなく、ジャージ姿だったため大した被害もなく済んだのだが、
やはり本人たちにも部員にも精神的ダメージはある。

特に、田中と西谷は怒り狂った。



「こうなったら俺たちで犯人を捕まえてボッコボコにてやろうじゃねえか!」

「そうだな。さっそく作戦会議だ!」

「立花先輩、無視していいですから。」

熱くなる二人に、背を向けて縁下が立花に歩み寄る。

「立花先輩、この前の参考書ありがとうございました。
あれすごい分かりやすいですね。」

「あ、使ってみた?なかなか良いでしょ。
私なんて教科書よりあればっかり使ってたんだよね。」

立花はそう言って笑った。

「立花先輩、またテスト前に勉強教えてください。
縁下に教えてもらうより全然やる気でるんで!!」

田中がそう言って話に加わる。

「あ、俺もお願いします!テスト前だけでいいんで!」

「西谷くんは、普段からもうちょっとやればいいのに。」

立花は苦笑する。

「さすが、元不登校は自宅学習のプロですよね。」

ちょうどやってきた月島が後ろから蔑むような視線を送る。

「月島、言い方。」

縁下が軽くたしなめるが、立花は全く気にしていない様子で笑っている。

「立花先輩、また今度英語教えてください。俺どうしても苦手で……。」

「うん、私で良ければいつでも。
山口君は英語以外はいいのにもったいないもんね。」

すっかり部員にも打ち解けた立花は、最近では良く部室に顔を出すようになっていた。

練習中はさすがに気を使って体育館には近寄らなかったが、
帰りにはいつものようにみんなと一緒に帰っている。

少し前まではどこに行くのも菅原がいないと不安だったことを考えれば、見事な成長ぶりだ。

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