第5章 まわりみちの行方（前編）

「なんだとぉぉぉ！？」

部活開始前の部室で、田中が大声を上げる。

隣にいた縁下は思わず耳をふさぎ、西谷が、しー！っと指を立てて睨む。

「声がでかい！」

「す、すまん……。ていうかそれ、マジなのかノヤっさん。」

「ああ、さっき職員室で聞いちまった……。」

西谷と田中はしばし黙り込む。

縁下だけは冷静に着替えを進める。

「こんにちはー。」

「うっっおおおおお！？」

「わあああああ！？びっくりしたあ！？なんだ立花先輩か！？」

「お前らいい加減にしろうるさい！！」

悲鳴を上げて飛び上がる二人に、縁下の怒鳴り声。
立花は逆に驚かされる。

「ど、どうしたの？」

「聞いてくださいよ立花先輩！実は潔子さんとやっちゃんが……。」

「おい、やめろ。べらべら話すような内容じゃないだろ。
しかも立花先輩は女子なんだからちょっとは考えろ。」

話したそうにする西谷を、縁下が止める。

「あ、潔子ちゃんと仁花ちゃんのことなら、もう知ってるよ。
美和ちゃんも気を付けてねってメール来たから。
心配だよね、二人とも大丈夫かな……。」

立花が眉をひそめる。