【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第3章 秋祭り
「え、澤村君?」
「俺、さっき立花の浴衣かわいいって褒めただろ?
あれ、もちろん本当にかわいいと思ったからなんだけど、
そう言えば、スガも便乗して素直になるかなって計算したからなんだ。
でも実際は逆だった。あいつが妙に頑固なこと忘れてた。
結局立花に嫌な思いさせただけだった。
余計なことしてほんとごめん。」
澤村が一息に説明した。
立花は唖然として目を瞬かせた。
「えっと。澤村君?
こうちゃんはいつもあんな感じだから、気にしないで。
……それにね、もうそろそろ潮時だと思ってるから。」
立花は笑ってこう続けた。
「こうちゃんは、優しいけど、もういつまでも私の面倒ばかり付きあわせるわけにはいかないよ。
そもそも卒業したら今までみたいに一緒にいられなくなるし、
だから離れなきゃって思ってて、
でもいざ他の女の子と仲良くしてるのを見るとすごく複雑な気持ちで、
だったらもう無理やりにでも離れないと、だめなんじゃないかって。」
その力のない笑顔に、澤村は何か決心したように口を開いた。
「あのさ、立花。こんなこと俺が言うのは違うと思ってたんだけど。」
「なに?」
立花はほつれてきた髪を耳にかけて澤村を見上げる。
「スガが一人でモヤモヤしてるのは知ってたし、
それは別に良いんだけど、立花がこんなに悩んでるのは俺も胸が痛むから。」
立花はまだ話が見えないようで首をかしげる。
澤村は膝の上で自分の指を絡ませて、
言葉を選びながらゆっくりと話し出す。