【ハイキュー】その日まで(poco a poco3)
第3章 秋祭り
「うわ、かわいい!この子の模様すごいキレイ。」
谷地が山口の金魚を見てはしゃぐ。
「1匹しか取れなかったけど……。谷地さんよかったらあげるよ。」
「え、でも……悪いよそんな。」
山口が勇気を振り絞って金魚を差し出すと、谷地は遠慮して首を振る。
「もらっとけば?こんなむさくるしい男より、
金魚の柄見て喜んでる女の子に飼われた方が金魚も幸せでしょ。」
月島が珍しく気を使って二人に提案する。
「えっと、ほんとに、いいの?」
「う、うん!ぜひ。」
山口の手からそれを受け取り、谷地は嬉しそうにお礼を言った。
「ありがとう。大事にするね。」
彼女の笑顔を見て、山口は動揺する。
「いや、こちらこそありがとう!」
「?」
「山口支離滅裂。」
月島に鼻で笑われてしまった。
「よかったね、仁花ちゃん。」
立花もそんな二人にほっこりと癒された気分になる。
「あ、じゃあ立花先輩には、俺の金魚あげます。」
日向が、女子で一人手ぶらになってしまった立花に気を使って提案する。
「え、いいよいいよ。日向君は持って帰って。
妹ちゃんが喜ぶでしょ。」
立花は気にしないでと笑う。
「そうですけど、俺、家遠いから自転車で連れて帰るのかわいそうじゃないですか。
だから立花先輩、どうぞ。」
その言葉に、立花もそれもそうかと納得し、ありがたく頂戴することにする。
「ありがとう。えへ。かわいい。」
立花は、揺れる金魚を顔の高さに掲げてそれを見つめた。