第2章 屍鬼の部屋
「主さん、待たせちまったさ?」
室内には寝台、丸テーブルが一つに椅子が二脚。
そこに一人の女性が座している。
彼の言葉に待ち人はゆるく笑み、首を振った。
「そっかぁ、良かった。…へへっ、主さん、会いたかったさ」
会えた嬉しさを堪えるように前で組まれた手が握られる。
「おいで」
女主人は云い腕を広げる。
それを視界に認め、少年はパァと破顔してその胸に飛びつく。
「ミュラーさぁん、寂しかったさぁ」
ぎゅぅ、と見た目通りの高いボーイソプラノが甘く囁く。
その頭を優しく撫で指で耳殻の形をなぞる。