第5章 花売り【ドルイアド】
「じゃあこれを。混じり無しのオリハルコンだからきっと良い値がつくはずだ」
割れた輪をドルイアドの手に握らせる。
「なら君が持って行きなよ」
「私にはこれを換金するツテがないから。持っていても仕方ない」
笑う客に、じゃあ、とドルイアドは懐から数枚の硬貨を取り出す。
「これ、俺のお小遣い。路銀の足しにして…仲間として、もらってほしい」
客の手にそれを乗せる彼に、魔物は頷く。
「有難う、剣の精。さよなら」
風の様に軽やかに身を翻し、客は雑踏の中に消えてゆく。
ドルイアドは手の中の金色の輪を眺めた。