第5章 花売り【ドルイアド】
「さあ、あなたのお好きな花を買って下さいませ!」
手馴れたもので、ルチアは賛美歌を歌う様な朗々とした声で云い、目のあった人にウインクを飛ばす。
「さあ、夜の花、Nightrideの夕顔をお買いになりませんか」
ユリシスももう慣れているので、スラスラと台詞を並べ道行く人々に視線を送る。
「花はいかがですか?綺麗なあだ花を買ってみませんか、コレ」
フィガロは半笑いだ。
まだ彼は幼く、あまり商売という気がない。
「……」
ドルイアドは主人から借りてきた本体の剣を胸に抱き、俯く。
彼は商売以前に人前に出るのがひどく苦手だった。