第3章 首無魔騎士の部屋
「ネコったら趣味が悪いんだから。自分の体に抱かせてそれを眺めるなんて。私はあなたに抱かれに来ているのに」
彼女と見合った頭部は笑む。
「愛する姫君が私の名を呼びながら私でない誰かに抱かれる。それこそ私の最高の愉悦」
美しい笑顔に潜む狂気に彼女はため息をついた。
「下らない事を云う唇は塞いでしまいましょうね」
彼女は騎士の頭を抱いて口付ける。
顔が離れると彼女の背後に居た騎士が進み出て外していた頭部を装着する。
「さあ、湯浴みを、主」
跪いて手を取る騎士に、笑んで主は頷いた。
「愛しています、ファレン」
何一つ、俺に嘘はなく。
すべてすべて、俺の真実。