第9章 【VIP】吸血鬼の部屋
トントン
「我が君、ミュラー様、遅れました。ルチアでございます。入ってもよろしいですか?」
途端、ミュラーは耳まで真っ赤に染め口をパクパクと開閉させた。
「ああ、入ってくれ」
反対に朗らかな口調でヴィアトリクス。
カチャリとノブが周り戸が開く。
「遅れて申し訳ございません」
今日の少年は濃紺に金縁取りの燕尾服姿だ。
「ベルニナくんの手伝いだね?」
「はい」
「レディ、ほら、君へのプレゼントが到着だよ。遅くなってなって御免よ。今彼は他の部屋の者も世話をしていてね……」
二人が顔を見合わせる。
「ミュラー様……どうかなさいましたか?」
「それは鯉の真似かい?レディ」
真っ赤に染まり未だ口を閉じられない彼女にルチアは怪訝な顔をしヴィアトリクスは半笑いで云う。
「ヴィアトリクスッ!」
ミュラーは叫ぶ。