第8章 【VIP】吸精鬼の部屋
「おっかえりぃ!ほらほらぁ、今日はちゃんと遅刻しないで来れたよ!褒めて♡」
ニコニコと笑うがその側でお付きのマーマン、フィガロが後ろ結びのリボンを必死で締め、結んでいる。
いつもなら絶対に着けている装飾品もまだだ。
多分彼は又時間ギリギリまで眠っていたのだろう。
主は彼より先に部屋に入り、いつも通り湯浴みを済ませローブ姿だ。
組んだ足の上に肘をつきその上に頭を乗せて溜息をつく。
「ベルニナ、五分遅刻してるわ」
まあ、今更であるが。
彼が時間ギリギリまで姿を表さないのはいつもの事だ。
彼は意外そうに目を見開きまだ背中のリボンを結んでいる少年に視線を向ける。
「そうなの?」
甘えた声に、側付きの少年すら溜息をつく。
「だから云ったですよ、コレ!もう時間だから髪を巻くのはやめた方が良いって!」
少年の憤慨した声もどこ吹く風といった感じで綺麗に縦に巻いた髪に指を絡ませつつベルニナは不思議そうな顔をする。
「だってぇ、今日の服には髪を巻いた方が可愛くなるよ?ねぇ、主ちゃん?♡」
全く何の毛連も無く云う淫魔に彼女は頷いた。