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私立薊河学園

第4章 in誠凛


「えーっと、黒子くん。これ今月の図書委員の予定表。部活で都合の悪いとこあったら言いに来て。」


黒子は読んでいた本から顔を上げ話しかけてきた人物を見上げた。


「………あれ、人違い?」

「いえ、あってます。すみません。僕、影が薄くて滅多に他人から話しかけられることがないんです。」

「へ、そうなの?そうは思えないけど…」


話しかけてきたのは黒子と同じ図書委員の三船蓮(みぶねれん)。二年生で委員長をつとめているしっかり者だ。

中身はしっかりしているが外見はチャラついている。大きな黒縁めがねに猫っ毛。

曾祖父が外国人らしく、そめてもいないのに髪はしっかり金髪だ。曾祖父以外は日本人の家系だが、遺伝子が根強く残っているようだ。


「んじゃそれだけだから。」


三船が立ち去ったあと、前の席に座っていた火神が眠っていることに気づき黒子は教科書でバシッと叩いた。










部活が始まり、今日もハードな練習をこなす。

その練習の途中で、体育館の扉を開ける者が一人。


「失礼しまーす。」


一気に全員の視線を浴び、少し戸惑った顔を見せたのは


「ごめん、練習とめちゃって……。日向くん、今日はキャプテンミーティングで職員室に集合だよ。」


三船だった。


「えっ!きいてねぇけど…!」

「うん。たった今決まった。放送かけたんだけど、バスケ部来なかったから。」

「あー、そういえば放送なってたような…。」


日向はちょっとぬけるわと告げ、体育館を出た。熱気のこもった体育館と違い、外には涼しげな風があった。


「三船は放送部…だっけ?」


気まずい沈黙に耐えきれず、日向は三船に声をかけた。同じクラスになったこともないのであまりしゃべったことはない間柄だ。


「んー、いちお部長なんだけど…幽霊部員ばっかだし部員はほぼ俺一人だよ。

まぁお昼の放送とかぐらいしかやることないからいいけどね。俺、習い事してるからそっち優先してるんだ。」


何の習い事か聞きたかったが、職員室に到着してしまった。

続きは終わってからで良いか、と日向は三船に続いて職員室に入った。
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