第1章 待ち合わせ
「そういえば薊河って大阪にあるよな…」
「大阪から東京までわざわざ来たのか!?」
「いえ、もう直ぐ連休でしょ?二週間ぐらいたっぷりあるから東京で合宿なんですよ…。
なので1日早く来て、黒子くん達に会おうと思って。」
見れば、長谷川の荷物は確かに大量だ。
「どんな合宿やるんだ?」
「毎年、三校合同らしいです。えーっと…沖縄と新潟の高校が来るだとか。」
「へー…すっごいな…」
「別に…先輩達についていくのがやっとです。」
長谷川はポリポリと頬をかいた。それが照れ隠しだということを黒子は知っていた。
「ロードワーク中とか会うかもな」
「どうだろー…僕、よくサボってるから」
「いや先輩達についていけよ!」
あはあはあははとごまかし笑い。
「だって10キロとか…僕、体が小さいから不利だよ。みーんな巨人なんだよ!?毎日ずーっと牛乳を飲んでる僕を見て笑ってるんだよ!?」
「それで、牛乳を注文したんですか…」
「何がいやって、僕はこの世で一番牛乳がきらいなこと。」
ズッと牛乳を飲む。あからさまに顔が青くなった。
「うへー、まずい」
「小学校のとき、牛乳残してたタイプか?」
「それはノーコメントですねー。」
目が泳いで手がプルプルとふるえている。よほど嫌いなのだろうか。
「長谷川くんは中学でもよく牛乳ネタふられてましたよね。」
「過去を掘り返さないで!思い出したくもない!!」
長谷川は真っ赤になって黒子の口をふさいだ。それほどまでして隠し通したいこととは…!?
「なぁ、薊河って十年前以外にもIHとWCで優勝してないか?」
「してますよ、一昨年。えーと、三年生とOBの人達ですね。今の三年生のレギュラーは一年生からずっとレギュラーなんで、
出てるはずですよ。その大会。あんまり話しは聞きませんけどね。」
「まじか!日本一になった先輩達がいんの!?」
「え、でも日常を見てれば嘘だろ?って思うよ」
「どんな先輩なんですか…」
長谷川はフフフフとまた不気味に笑った